2011年10月06日

講演会報告:あなたのせいじゃない

                                        
 清水 祐子

横浜YWCA「ゆう」は2010年6月5日(土)、「男女共同参画センター横浜」と共催で「性暴力被害/知ろう・わかろう・わかちあおう」と題する二部構成の講演会を開催した。一部はレイプ被害者であり性暴力や幼児虐待防止に奔走する米国在住の写真家・大藪順子さんの講演会。二部は医療機関、警察、弁護士、カウンセラーが各分野の立場から、性犯罪被害者が社会支援体制の不備により、さらなる被害(二次被害)に遭うことがないよう、性犯罪被害に特化した警察・医療・支援者の連携システム(ワン・ストップ・センター)の重要性と構想についての提言がなされた。具体例として、ニューヨーク州、韓国、スイスのワン・ストップ・センターが紹介された。
大藪順子さんは1999年、自宅で就寝中に侵入者によりレイプ被害に遭った。コロンビア大学を卒業後、新聞社に就職。服装はコンサバ(流行と関係ない地味な服装)、治安のよい地区に住み、犯罪に遭わないように自分なりに注意を払っていた。そんな彼女が自宅でレイプされた。パニック状態の彼女に、病院に駆けつけた支援者の「今夜起きた事はあなたのせいじゃないのよ」の一言が回復の大きな助けになったという。しかし性暴力の特徴は、被害者が自分の落ち度を探し、自分を汚れた存在に思い、自尊心を失い、自虐的な感覚に苦しむことにある。レイプは人格を破壊し、心を殺す。大藪さんも例外ではなく、心許せる支援者と早期に出会えたものの「うつ状態」が続いたという。2001年、同じように傷つき、生きていく人たちの姿を伝えたいと「STAND」(性暴力サバイバー達の素顔)を立ち上げ、男女70人を撮影、取材した。大藪さんは「被害者であることは一生変わらない。しかし被害者が一生不幸なわけではない」と自信に満ちた力強い声で話す。すべての被害者が声を上げられるわけではないが、社会が被害者の声を聞く姿勢をもち、被害者の体験や言葉に基づいた支援体制の整備が必要であると講演を締めくくった。



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Posted by 横浜YWCA at 14:24│Comments(0)女性への暴力
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